親知らずとは?
親知らずとは、奥歯である6歳臼歯と12歳臼歯のさらに奥に生えてくる18歳臼歯です。
親知らずが生えてくる20歳前後には、歯茎の被ったところに細菌が溜まって歯茎が腫れたり、横や斜めに生えてくるトラブルが多く見られます。
キレイに親知らずが生えた場合には、必ずしも抜歯する必要はありません。
ただし、将来的にトラブルを引き起こす可能性のある親知らずは、早めに抜歯しておくことで問題の原因から取り除いておくことが重要です。
ここでは親知らず抜歯の手順から、重要なポイントをご説明します。
親知らず抜歯の流れ
- 1. 血管や神経の位置をCTレントゲンで確認
- まずはCTレントゲンを用いて、血管や神経の位置、また親知らずの根の状態を確認します。
事前に親知らずの状態を把握してから抜歯治療を行うことで、抜歯の安全性を最優先に確保します。
- 2. 表面麻酔と注射麻酔で痛みを最小限に抑える
- 通常、親知らずを抜く前には注射麻酔を行いますが、当院ではその前に表面麻酔を施しておくことで、麻酔の痛みを最小限に留めます。
また、注射麻酔では出来るだけ圧をかけないように電動麻酔器を使用し、痛みを出さないように配慮します。
- 3. 親知らずを抜歯する
- 歯と骨の間には歯根膜(しこんまく)と呼ばれるクッションのようなものがあります。
親知らずを抜歯する際には、専用の器具を使用して、親知らずをこのクッションから引き離します。
基本的には麻酔が効いているため、痛みは伴いません。
ただし、もし痛みが出る場合には合図を送っていただきます(合図があった場合は麻酔を追加します)。
骨の奥に埋まっている親知らずの場合は、周囲の骨を削ったり、歯を小さく割ってから抜歯するため、頑張ってお口を開いておいていただきます。
- 4. 糸で縫って傷口を小さくする
- 親知らずを抜いた後は、抜いた部分の穴が早く塞がるようにかさぶたの形成を促します。
この時、かさぶたができ易いように傷口を縫って小さくしたり、穴に止血用のスポンジを入れる場合があります。
麻酔の効き目はおよそ1~3時間で切れてくるため、痛みが心配な方は麻酔が切れる前に痛み止めを飲むように注意します。
- 5. ガーゼで圧迫止血する
- 歯の根まで虫歯が進行すると、化膿して膿が溜まります。
【治療法】
抜歯が必要となる場合があります。その後、入れ歯やインプラントなどによって歯の機能を回復します。
- 6. 翌日の消毒
- 翌日に出血や感染がないかを確認し、消毒を行います。痛みや腫れの状態によって、薬を増やしたり、変えることによって早く回復するように調整します。
- 7. 1週間後に糸を取る
- 抜歯から1週間ほど経つと、親知らずを抜いた部分の傷口が塞がってくるため、糸を取ります。
その後、3~4週間で傷口が完全にふさがり、骨は3~6か月程度で回復します。
※こちらは目安の期間であり、個人差があります。
ドライソケットになった場合の対処法
抜歯を行って1週間が経っても激しい痛みが伴う場合、ドライソケットになっている可能性があります。
ドライソケットとは、うがいなどによって血液のかたまりが流れてしまい、抜歯した穴にかさぶたが形成されずに骨が露出してしまっている状態を意味します。
ドライソケットになっている場合は、薬を飲んで経過を見守るか、麻酔をしてから意図的に出血させ、かさぶたを作りなおす処置を行います。
抜いた親知らずを移植して再利用する治療法(自家歯牙移植)
抜歯処置を行った自分の歯(ドナー歯)は、歯の失われた部分に移植することで再利用できる場合があります。
このような処置を自家歯牙移植(じかしがいしょく)といい、ドナー歯の移植が上手くいけば、周囲の歯と同じ働きを持つようになるため、メリットの大きな治療法として知られています。
歯を失った時、選択肢としてはインプラントや入れ歯などの治療法がありますが、自家歯牙移植の場合は人工の歯ではなく「自分の歯」を使います。
自分の歯には、歯の根の周囲にクッションの役割を果たす「歯根膜」があるため、自家歯牙移植を行った歯は、普通の歯と同じ噛み心地で物を食べることができるようになります。
インプラントや入れ歯ではこの歯根膜を再現することはできないため、自家歯牙移植が可能な状況にある場合は、まずこの方法を検討すると良いでしょう。
人によって個人差がありますが、移植後はおよそ3ヵ月で移植歯の周りに骨が生成され、その後はしっかりと根付きはじめます。
自家歯牙移植を行うためには、次のような条件を満たす必要があります。
- ドナー歯を保存していること
- ドナー歯と、移植する部分の大きさが合っていること
- ドナー歯が健康な状態であること
- 患者様の年齢が40代以前であれば成功率が高まる